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労働組合対応の基本

労働組合は「話し合い」のための組織

これまで労働組合と縁がなかった経営者の方は、ある日突然、労働組合から団体交渉の申し入れがあったときには、大変驚かれることと思います。

もともと労働組合は、労働者である従業員が、自分一人では雇い主に対して待遇改善を求めることは難しいであろうという考えを前提に、組織を結成して、団体で雇い主と交渉をしようということで結成されています。

こうした組織としての実力が背景にあることから、団体交渉というと、大人数が押し寄せてきたり、強い態度で要求に応じるよう迫られるのではないかと心配になることはもっとものことです。

しかし、団体交渉はあくまでも「交渉」ごとですから、本質的には「話し合い」でなければなりません。話し合いである以上、たとえ労働組合による団体交渉が労働者の権利であったとしても、使用者側の自由な意思を「制圧」するようなことは、もはや話し合いではありません。

労働組合の活動は尊重されなければならず、団体交渉の申し入れについても、ことがらが組合員である従業員の労働条件に関わる事項である限りは、交渉の席につくこと自体は、使用者としての義務となります。
しかし、行きすぎた活動には毅然とした態度で臨むことは可能であり、また純粋な経営事項については、経営者の専権に属する事項として、交渉の対象とならないと考えられます。

労働組合への対応は、お互いが対等の立場にたって、誠実に「話し合い」をすべき当事者であるという心構えを持ち、受け入れるべきことは受け入れ、受け入れられないものは受け入れられないとの対応が可能であるということを知っておくことが基本です。

禁じ手としての「不当労働行為」

雇い主として、団体交渉に応じる義務があるということは、交渉の席に着く義務があるということです。ここで「交渉の席に着く」とは、労働組合の要求に耳を傾け、応じることが可能かどうかを検討する義務があるともいえます。

検討の余地のないことがらは、かえって会社の方から労働組合へその結果を受け入れるよう交渉すべきであり、そのためには、なぜ労働組合の要求を受け入れられないのか、説明する必要があります。
その結果、物別れに終わったとしても、それは話し合いである以上、仕方のないことです。団体交渉では、交渉の席に着く義務はあっても、労働組合の要求を丸呑みする義務まではありません。

団体交渉は、あくまでも交渉ごとですので、お互い、結論を有利に導くための手段が探られることとなります。
しかし、労働組合側が行きすぎた行動に出たときは、これを止めるよう求めることができますし、あまりに度を超したものは、裁判所に申し立てて行為を差し止めたり、事情によっては警察の援助を受けることもあり得ます。

他方で使用者側としても、労働組合に直接的な圧力をかけたり、団体交渉そのものを無意味とするような行動は、交渉の手段としては行き過ぎたこととなります。特に次のような行動は、不当労働行為と呼ばれ、労働組合が労働委員会へ救済命令の発令を求めることができるとされています。

① 組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱い
② 正当な理由のない団体交渉の拒否
③ 労働組合の運営等に対する支配介入及び経費援助
④ 労働委員会への申立て等を理由とする不利益取扱い

労働組合とうまく付き合うために

労働組合は、会社に対して要求を行うことを本分としていることから、本質的には会社と意見が対立しがちとなります。
しかし、特に会社内に組織されている労働組合であれば、会社が成り立ってこその雇用であることにも相応の理解を得られる可能性があります。

また労働法の世界では、労働条件に重大な変更を伴う場合には、従業員と協議を尽くしたかどうか、従業員代表の同意が得られているかなどが重視される場面が多くあります。労働組合との間で、健全な労使関係が築けていると、こうした場面にも円滑に対応することができます。

他方、会社単位ではなく、地域単位で組織されている労働組合であるいわゆるユニオンは、必ずしも会社との共存関係にあるわけではなく、純粋に労働者の利益を擁護する観点からの交渉を行うことがあります。こうした労働組合に対しては、法律や判例の状況をふまえた駆け引きが重要となります。

労働組合と一口にいっても、個性があってその姿勢自体が様々です。はじめて労働組合との交渉に臨むこととなった場合や、ユニオンなどから強い要求を受けてお悩みの際には、会社側の立場から労務問題に注力している当事務所へ是非ご相談ください。

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