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【弁護士による解説】外国人が事業を支える時代に!正しい外国人雇用のポイント

【弁護士による解説】外国人が事業を支える時代に!正しい外国人雇用のポイント

外国人労働者の現況 ~外国人は「認められている範囲」でしか日本国内で働くことはできません~

今の世の中、世界中、どこでも自由に旅行ができることが当たり前になっており、街中で外国人の姿を見かけることは、何も珍しいことではありません。私たちが海外旅行を自由にできるのも、当たり前のように思われがちですが、実はある国が外国人の入国を認めるかどうかは、その国がそれぞれの都合で判断しています。

外国人であっても、旅行のような一時的な入国であれば、比較的ゆるやかに認められることが世界の流れといえます。しかし、働くことを認めるとなると、多かれ少なかれ、定住につながることになりますし、状況によっては、自国民が働きにくくなることもあり得ます。そのため、外国で働くということは当然に認められるわけではなく、我が国においても、外国人が日本国内で働くことは、特に認められた範囲に限られることとされているのです。

外国に入国するためにパスポートが必要だということは、どなたでもご存じのことですが、滞在目的によっては、そういう目的で入国をさせても良いかどうか、事前判断をするための証書が別途必要となります。これが査証というもので、ビザとも呼ばれています。こうして適法に入国した外国人には、その滞在目的の範囲での在留資格が与えられることになり、この在留資格があることを証明するカードや在留資格そのものも含めて、ビザと呼ぶことが一般的です。

外国人の在留資格には、多数のものがあります。このうち、ずっと日本で生まれ育って、ただ国籍だけが外国籍だという外国人や、日本国に長く住むこととした外国人が要件を満たしたときに与えられる4つの在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)は特別で、日本国内で就労することに制限はありません。我が国で働いている外国人の30%以上、60万人近くがこの在留資格で働いているといわれています。

これに対して、もともと滞在期間が短くて、本来は働くことそれ自体を目的としていない4つの在留資格(文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在)の場合、原則的に日本国内での就労はしてはいけないこととなっています。ただし、留学及び家族滞在の場合には、地方入国管理局で資格外活動の許可を受けることで、1週28時間の限度で、アルバイトとして働くことは認められています。また、留学に限っては、資格外活動の許可を受けることで、在籍する教育機関が夏休み等の長期休業期間中、1日8時間まで就労することも可能になるという例外もあります。

定められた範囲内で働くことが認められている在留資格は、俗に就労ビザとも呼ばれており、いくつかの種類があります(外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・管理、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術、人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、特定技能技能実習、特定活動)。このうち、技能実習と特定活動以外の在留資格は、専門的・技術的分野で働くためのものであり、我が国で働く外国人の25%以上、50万人弱がこのいずれかの資格で働いているといわれています。中でも、特定技能は、他の資格が業種や職務内容を狭く限っているのに対して、幅広い業種や職務内容を対象としているため、これからの時代、外国人を雇用するための在留資格として注目されつつあります。

外国人労働者が働くために必要な在留資格 ~技能実習と特定技能は全く違う別の在留資格です~

外国人でも日本国内で働くことができる在留資格は、その資格ごとに働くことができる業種や職務内容が限られているものがほとんどです。これに対して、技能実習は、農業関係、漁業関係、建設関係、建設関係、繊維・衣服関係、機械・金属関係のほか、その他(20職種37作業)と、とても幅広い業種が対象となっており、特定技能についても、14業種(介護、ビルクリーニング業、素形材産業・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設業、造船・舶用工業、自動車整備業、航空業、宿泊業、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業)とよく人材が求められる業種のほとんどが対象となっており、技能実習と特定技能とは、どちらも外国人が幅広い業種で働くことができるという点では似通っています。

しかし、制度の目的が根本的に違っており、特定技能が日本語能力と仕事の能力を活かして働くことそのものを目的としているのに対し、技能実習は我が国で技能を身につけて、自国へ戻って活躍することが目的とされています。そのため、両者では求められる技能水準が違っており、技能習得と帰国後の活用を確保するための送出機関・監理団体の関与の有無も違っています。また、転籍・転職ができるかどうかも大きな違いです。

このように、技能実習と特定技能とでは、制度の目的と仕組みが違っています。特に技能実習は、技能を得てもらうことが本来のあり方であり、現場の労働力を補うために活用することは想定されていませんでした。実際、法律でも「技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない」という定めが置かれています(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律3条2項)。外国人を現場の戦力として雇用するのであれば、特定技能の方法によることがもともと法律が想定しているあり方だということができます。現在、技能実習の仕組み自体を見直すことが政府によって進められており、将来的には特定技能と関連づけて発展的に解消されることが見込まれています。その前段階として、技能実習を経て、十分な技能と日本語能力を習得した外国人は、特定技能へと移行するという仕組みも用意されています。

ところで特定技能は、1号と2号とに分類されており、1号による就労を経て、技能を熟練させて、一定の試験に合格することにより、2号へと移行することができます。1号の場合、在留期間が5年に限定されていますが、2号となるとこれが無制限となり、かつ、家族の帯同も許されますので、長期的な労働力として期待することができます。なお、介護分野については、1号での就労期間中に介護福祉士の資格を取得することにより、特定技能とは別に介護の在留資格を得ることができる場合がありますので、2号の対象からは除外されています。

外国人労働者に必要な労務対策 ~外国人ならではの対策が必要です~

技能実習は「実習」という言葉の響きから、労働者とは別の対応が可能なのではないか、と思われる向きがあるかもしれません。しかし、実際に労働にあたってもらう以上、労働基準法をはじめとした我が国の労働関係法令が当然に適用されます。特定技能も同様で、そもそも働いてもらうこと自体が目的なのですから、外国人だからという理由だけで、労働関係法令の適用で区別されるものではありません。したがって、外国人労働者であっても、雇用関係がある以上は、労働関係法令に適った労務対策をしなければなりません。

もっとも、外国人労働者は必ずしも我が国の習慣や風習に馴染んでいるとは限らず、少しの行き違いからトラブルに発展するということもあり得ます。また、外国人が我が国で働くためには、働き方に合った在留資格を適法に有していなければならず、万が一にも、就労できる在留資格を有さない外国人を雇用して働かせてしまった場合には、不法就労助長罪という罪に問われ、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金が科されることがあります。それだけでなく、外国人を雇用したときには、ハローワークへ外国人雇用状況届出書を提出することも必要です。

近い将来、外国人は重要な即戦力として現場で活躍することが当たり前の時代がやってきます。当事務所では、事業所の立場からの労務問題に注力をしており、特定技能を有する外国人労働者の雇用についてのアドバイスやサポートも提供させていただいております。外国人労働者の雇用でお悩みの経営者の皆さまにおかれましては、是非とも当事務所へご相談ください。

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