採用面接で聞いてはいけないこと
最近、ある大手食品会社が、工場でのアルバイト採用面接時に、体重やウエストのサイズ、病歴などを「面接票」で尋ねていたことについて、ハローワークから指導されたという記事に触れました。
今回は、「採用面接で聞いてはいけないこと」について、考えてみましょう。
求職者等の個人情報の取扱いについては、「その業務の目的の達成に必要な範囲で」収集、保管、使用しなければならないとされています(職業安定法5条の4第1項)。
抽象的で分かりにくいですよね。厚労省のパンフレット「公正な採用選考をめざして」において、「採用選考時に配慮すべき事項」が列挙されており、参考になります。
冒頭の記事に関しては、同パンフレットのうち、「⑭合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施」が問題となります。
会社側は、体重等は作業着を作るため、病歴はアレルギーを把握するために確認していた、と説明しているようです。
確かに、作業着を作るためには、体重等の情報が必要かもしれませんが、作業着を作るのは採用「後」です。ハローワークが指摘するように、採用選考時に尋ねるのは適切とは言えないでしょう。
他方、アレルギーを把握するため、という理由については、会社側の説明にも一理あるように思います。
厚労省のパンフレットでも、食品関連会社において、製造工程で使用する食品に対するアレルギーを確認することには、合理的・客観的な必要性があると記載されています。
もっとも、アレルギーを把握するためであれば、その原因物質を尋ねれば足り、「病歴」まで尋ねる必要性はないでしょう。また、製造工程に関与し得ない者に対してまで「一律に」尋ねていれば、それは必要な範囲を超えています。
この機会に、社内で使用している面接票を見直してみませんか。
弊所では、労務分野に特化した弁護士が、法的リスクを判断し、適切な助言をさせていただきます。
(弁護士 船岡亮太)
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